カトリックさいたま教区/CATHOLIC SAITAMA DIOCESE

司教メッセージMESSAGES

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復活節第5主日 ヨハネ 14・1-12

2020.12.10 (日)
1.5月はマリアの月
 今日は2020年5月、第2週目の日曜日を迎えています。日本では母の日でもあります。
全てのお母さま方に感謝をしながら、このミサを捧げたいと思います。

 教会では、伝統に従って、5月は聖母マリアに捧げられます。この1ヶ月がマリアに捧げられることはバロック時代、すなわち17世紀に遡るものです。それ以前、マリアの月はいつも5月に行われていたわけではなかったのです。その1ヶ月は神の母の誉れのために捧げられ、30日間、毎日、霊的な黙想をしました。17世紀になって、5月という月とマリアが一つに結ばれました。そして、そのお祝いには、1ヶ月を通して毎日、用意された、特別な信心業がありました。この習慣は19世紀に広がり、今に至っています。

 この特別な月を迎えて、教皇フランシスコは次のことを勧めています。
「5月に神の民は、聖母マリアに対して特別な熱意を持って愛と信心を表します。」と。
 この期間は家庭で、家族としてロザリオの祈りを唱えるのが伝統です。パンデミックによる制限はこのドメスティック(家庭的)な集まりとしてだけではなく、霊的視点からも評価が与えられました。

2.イエスの母であるマリアに寄り添われて、わたくしたちは信仰生活を強めます
 両親は、わたくしが幼い頃から、「イエスの母がわたくしたちの母である。」という信心業を伝えてくれました。その後、小神学生の時にサレジオ会員が、マリアの存在を、救いの歴史、特に、カトリック教会の生活の中でのマリアの姿を深く理解するようにわたくしを助けてくれました。アルゼンチンの国旗はマリアのマントの色、ブルーと白を持っています。わたくしはアルゼンチンで33年間生活しました。その間に、アルゼンチンの人々にとって、マリアは、母親として、保護者として、そして扶助者として、わたくしたちに寄り添い、働きかけていることに気付いたのです。

 例年なら、5月31日はマリアがエリザベトを訪問したお祝い日です。しかし、今年は典礼カレンダーに従って、聖霊降臨の祭日としてお祝いします。ですから、さいたま教区では、みんなが心を合わせて毎日ロザリオを捧げ、私たちの霊的交わりを強めたいと思います。なぜなら、ある意味では、この新型コロナウイルスが生じさせた社会的環境が私たちの生活、特にイエスの弟子としての信仰生活の見直しを求めているのではないかと思うからです。

 今の段階では、もしかしたら早すぎるかもしれません。しかし、新型コロナウイルスが私たちに投げかけた挑戦によって、多くの司祭や助祭、修道者と信徒がみ言葉の黙想と個人的な祈りをもって、信仰生活を深めることができたのではないかと思います。

 新型コロナウイルスは身体的健康だけではなく、わたくしたちの霊的生活の熱意を失わせて、弱めている、攻撃しています。わたくし自身も一日の終わりを待てず、半日ごとに情報が欲しくなる、得ようとするのです。埼玉、群馬、栃木、茨城で新しく何人が感染したのか、日本全国では・・? そして、特に、この翌週と翌月に、日本政府が何をどのようにするかを気にしています。

3.この歴史的な危機の中で わたくしの信仰生活をどのように強めたら良いのでしょう
 霊的に応えることが緊急の願いです。何世紀にもわたって聖人たちが教えているのは、道の途中で死なないために、神を見失わないために、気持ちを落ち込ませないようにする最善の糧は「祈り」である、ということです。様々な困難の中にあって、私たちの健康、特に精神面での衰えを回避するためには、健康的な食生活を心がけ、休養と運動を欠かさないことが大切です。同時に、祈りの習慣に対して、気を削ごうとする誘惑に負けないように、霊的戦いを続けることが特に必要です。

 霊的挑戦を毎日続けましょう。まず、司祭たちにお願いします。この5月をきっかけに、私たちの小教区共同体を祈りの共同体にしましょう。肉眼では見えない敵に迫害されている中で、ただ聖堂の中の聖母マリアのご像の前に集うだけではなく、わたくしたちが家族として一致のうちに留まっている共同体であるように。

 司祭の皆さんにお願いします。祈って、心の中の声を聞いてください。信仰生活を強めるために、聖霊は私たちに具体的に何を喚起しているか。わたくしからは簡単なことを一つ勧めます。
 ロザリオの祈りでもっと一つになりましょう。なぜなら、一つ一つの神秘を捧げることによって、信仰のモデルであるイエスとマリアの生涯に一致することができるからです。2011年3月11日の東北地震と津波の後のように、私たちのそれぞれの小教区をロザリオの祈りによって一つに結ばれている共同体にすること。例えば、一つの原義を唱える時に、病人や死者、あるいはいただいた恵みを神様に感謝する意向を持って捧げるようにしましょう。

 司祭の皆さんにお願いします。ご自分の小教区の信徒の皆さんにロザリオの祈りの時間を伝えてください。それによって、それぞれがいる場所から祈りの輪に参加できるように、心を合わせて祈れるように。

聖霊のいのちが私たちの共同体に光り輝きますように。

聖母マリアが私たちと共にいて、私たちの信仰生活を強めてくださいますように。