司教メッセージMESSAGES
2009年新年の司教メッセージ
2009.12.1 (木)
信者たちは毎日ひたすら心を一つにして神殿に参り、家ごとに集まってパンを裂き、喜びと真心をもって一緒に食事をし、神を賛美していた
さいたま教区の兄弟姉妹の皆様へ
クリスマスおめでとうございます。そして、新年おめでとうございます。皆様はこのクリスマスとお正月をどのようにおすごしでしょうか?
わたしは皆様がそれぞれの小教区、またブロックのなかで共同体を大切にしてくださっていること、また、小さくされている人々を大切にしてくださっていることに心から神に感謝し、皆様のためにいつも祈っています。
2008年から協働宣教司牧が始まりました。また、ブラジル移民100年祭、188殉教者の列福式などが行われました。新年の2009年にはブロック対抗フットサル大会、教区大会、正義と平和協議会さいたま大会などの行事が行われます。そこでも共同体、ブロックの交わりの成果が現れることを期待しています。
他方、わたしたちの社会ではアメリカ発の金融危機による不安、雇用に対する不安、食の安全に対する不安など、さまざまな不安が広がっています。こうした不安で苦しい生活のうちにいるからこそ、なおさら神に対する信頼が大切であることを思い起こしてください。神のみことばを聴き、行いをもって救い主であるイエスに従っていくことのなかに真の希望があるのです。
<みことばと聖体を中心にした共同体>
タイトルに引用した使徒言行録2章46、47節は初代教会の信者たちの様子を記したものです。前半の部分には、信徒たちが心を一つにして神殿に集まっていたと書かれています。聖書を通して神の言葉を聴き、イエスのことを思い、神を賛美していたのです。これはミサのなかの「みことばの典礼」として現在も引き継がれています。後半の部分は、信徒たちはいくつかの家に集まり、共同体でパンを分かち合い、食事を共にし、神に賛美をささげていたことが描かれています。これはミサの「感謝の典礼」にあたります。わたしたちは今でも聖体を分かち合っています。バザーやフィエスタがあるときには食事を共に分かち合っています。
わたしは皆様が「みことば」と「聖体」という二つを中心にしたミサを大切にしてくださっていることはよく知っています。日曜日ごとに、また、復活祭、クリスマス、新年を迎えて集まり、初代教会の信者と同じように神に賛美を捧げています。それだからこそ、わたしたちの共同体が存在しているのです。
<2万人もの殉教者を生み出した共同体>
わたしはわたしたちの共同体がよりいっそう豊かなものになるよう願っています。そのためにわたしたちに何ができるでしょうか。わたしは188殉教者列福から皆さんとともに学んだことのなかにそのヒントがあると考えています。
400年前に2万人もの殉教者を出したキリシタン共同体を思い起こしてください。当時の信者は40万人とも60万人ともいわれています。20人から30人に一人は殉教者となったのです。そこに強い信仰があったことには疑う余地がありません。しかし、2万という殉教者の数は一人ひとりの強い信仰だけで説明することは困難です。共同体の強い信仰があったからこそ多くの殉教者を生み出したと考えなければ説明できないでしょう。
当時と今を比較してみましょう。当時はみことばの祭儀が行われていましたがミサはなかったのです。聖体、司祭を待ち望みながら、人間の思いではなく、神の教えを中心にして毎週集まっていたのです。今のわたしたちの共同体はどうでしょうか。
もう一つあげるなら「分かち合い」です。キリシタン時代の共同体は司祭がいなかった分、信者が役割分担を徹底し、分かち合いを行っていました。今の時代はどうでしょう。信者どうしでみことばを分かち合い、互いに励ましあっているでしょうか。
もちろん、キリシタン時代と共通するところもあります。それは初代教会とも共通することですが、共同体が存在すること、信者が毎週集まり、みことばを聴いていること、いつも神に賛美していることなどです。
<みことばを基にした分かち合いが共同体を豊かにする>
司祭に頼りすぎないで、共同体の役割を信者の皆さんが主体的に分担をすることが協働宣教司牧の基本です。そこに、聖書を基にした分かち合いがあれば共同体はより強い信仰を持つことができるのではないでしょうか。分かち合いは家庭の中で、あるいは家庭集会という形でもできることです。お年寄りの集まりも必要でしょう。教会の掃除などで集まる前後の時間を利用することもできます。教会を越えた仲間の集まりを作ることも可能でしょう。青年の集まりでも聖書をもっと分かち合ってください。もちろん、それぞれの母語による分かち合いも必要です。工夫して集まるチャンスを作ってください。そして必要に応じて司祭や修道者を招いて一緒に聖書を分かち合ってください。
聖書を基にした分かち合いはこれまで教区としても進めてきましたが、より具体的に少人数の集まりを作って進めてください。それによって、わたしたちの共同体はより大きな恵みが与えられ、愛、信仰、そして真の希望をはぐくむことができるでしょう。
皆様がみことばによって生かされる恵み多き年となるように祝福を送ります。
✚全能の神、父と子と聖霊の祝福が皆様の上にありますように。
2009年1月1日
カトリックさいたま教区
司教 マルセリーノ 谷 大二