司教メッセージMESSAGES
復活徹夜祭 ルカ 24･1-12
2022.12.16 (土)
「あの方はここにはおられない。復活なさったのだ」（ルカ24・6）兄弟姉妹のみなさん、
アレルヤ、キリストは復活なさった！ 主の御復活おめでとうございます。花に満ちた春の日本、そして、美しい満月。その中で、大いなる喜びを持って主の復活をお祝いします。
伝説によると、これは主の名誉のための夜です（出エジプト12・42）。徹夜祭に参加する私たちは、火が灯るろうそくを手に持っています。主が再び訪れる時に待っている人たちのように。主が私たちを目覚めた状態で見つけ、食卓につかせます（マタイ24・46）。この夜の徹夜祭は典礼の中で一番大きな祭日です。
復活徹夜祭の第一部：火の祝福と長い言葉の典礼
復活徹夜祭は聖堂の外で始まり、新しい火の祝福の後、復活のろうそくに火が灯され、「キリストは、きのうときょう はじめと終わり アルファと オメガ 時間も永遠も、かれのもの 栄光と支配は かれに 世々とこしえに。アーメン。」の言葉とともに、十字架と他の印が刻まれ、5粒の香がろうそくにつけられました。「その聖なる 栄光ある傷によって、わたしたちを支え、守ってくださる 主キリスト。アーメン。」復活のろうそくに記されたこれらの印は復活節中ずっと見ることができます。
続いて、旧約時代の聖書の重要な箇所の朗読を聞きました。救いの歴史と呼ばれる７つの箇所から選ばれた3つの箇所の朗読でした。そして、栄光の賛歌を唱えた後、パウロのローマの教会への手紙が朗読されました（6・3−11）。私たちは、洗礼によって、死んだキリストと共に葬られ、新しい命に生まれ変わった、と告げられました。そして、四旬節中、唱えなかったアレルヤが歌われ、復活の福音の箇所が朗読されました。今年C年は、ルカ福音書（24・1−12）でした。
典礼の新しい受洗者と、私たちの洗礼の約束の更新
説教の後に洗礼の典礼が始まります。今夜、私たちの浦和教会では、八人の大人と四人の子どもが洗礼を受けます。十二人は四旬節の第一の日曜日に 求道者として紹介されました。この徹夜祭で十二人の方々が洗礼を受けられることはとても大きな喜びです。
彼らに合わせて、イエスの弟子としての洗礼の約束を更新しましょう。私たちの教会共同体に参加し、復活されたイエスの証し人となりながら。
福音（ルカ24・1−12）：女性たちへの復活のアナウンス
今日は他の日曜日より多くの朗読があり、洗礼の儀式も続きますので、この聖なる夜に聞いたC年のルカの福音書については短くコメントします。
朝早く、満月の光で街を歩けたので、女性たちは香料を持って墓に向かって行きます。墓の入口を塞いでいる丸い石をどのように転がすのか、彼女たちは分かりません。が、石が転がしてあったのを見つけたことに、驚きを見せてはいません。中に入って、イエスの遺体を見つけることができなかったので、混乱しました。遺体はどこへ、だれが持っていったのか。弟子たちではありません。なぜなら、彼らは家から出ませんでしたから。アリマタヤのヨセフ、ニコデモは輝いた衣を着た二人の男を見て混乱し、その後パニックにおそわれます。イエスの昇天の時、同じような服を着た人たちが弟子たちに現れましたが、その時は彼らを恐れさせることはありませんでした（使徒言行録1・10−11）。しかし、この状況はあまりにも違います。
女性たちが下を見ていると、小さく、皮肉な叱責の声が聞こえます。「なぜ、生きておられる方を死者の中に捜すのか」。そして次の言葉、「あの方は、ここにはおられない。復活なさったのだ」。この言葉が復活のメッセージ、その重要なキーワードになります。
そこにいないことを女性たちは見ている。復活なさっている。これは意外なように見えますが、驚くべきことではありません。そうではありません。ガリラヤにいた時、すでにイエスから聞いたことがありますから。
歴史の終わりは皮肉でいっぱいです。二つの世界が相反しています。女性の世界と男性の世界。女性の世界は、あらゆるところへイエスに従ったメンバーで構成されています。マグダラのマリア、ヤコブの母マリア、ヘロデの家令クザの妻ヨハンナ。この女性のグループが朝早く香料を準備し、墓へ行きました。この女性たちに対して、男性のグループ。それは十一人と他の人たちです。彼らは何もしない。ヨハネは付け加えています。「ユダヤ人を恐れて、自分たちのいる家の戸に鍵をかけていた。」（ヨハネ20・19）。女性たちに起きたことを聞いても、男性たちは幻覚と思って信じませんでした。
しかし、一人が信じました。ペトロは墓に走って行き、中を見るために頭を低くします。しかし、亜麻布しか見えない。遺体がないことに驚きながら家に帰ってきます。天使たちのメッセージから最初の部分、「ここにはいない」だけを肯定し、そこに何も続けようとする動きはありません。「復活なさった」。女性たちは、ため息をつきました。墓が空だったことは彼女たちのたわ言ではないことは、ペトロがその証人だったのです。
エマオの二人の弟子たちが語ったことと違う歴史があります。確かに、何人かの女性たちが私たちを驚かせました。「 ところが、仲間の婦人たちがわたしたちを驚かせました。婦人たちは朝早く墓へ行きましたが、 遺体を見つけずに戻って来ました。そして、天使たちが現れ、『イエスは生きておられる』と告げたと言うのです。 仲間の者が何人か墓へ行ってみたのですが、婦人たちが言ったとおりで、あの方は見当たりませんでした。」（ルカ24・22−24）。
一番大きな違いは最後にあります。ペトロが墓に行くのではなく、彼らの幾人かが行きました。しかし、最後に結果として落胆で終わります。彼を見なかった。天使も復活もなく。
ルカは、読者が男性の側になるように求めています。弟子たちが女性のグループの幻覚に騙されたという説に対して、ルカが指摘しているように、彼らの信仰はその証言によるものではない、ということを明らかにするためです。その証拠に、証言を信じることなく、エルサレムを離れてエマオに行きました。二人の弟子は騙されなかったということです。
終わりに
私たちの信仰の道、復活されたイエスを信じ、その証人になるためには長い道のりがあります。洗礼や他の秘蹟を受けているから充分、ということではありません。私の信仰が弟子たちのように成熟するためには、さまざまな試練の時を通過しなければなりません。私たちにも聖霊降臨の体験が必要です。私たちの間に復活されたイエスが生きていると確信を持てるために、復活されたイエスの霊が私たちを光と力で満たしてくださいますように。さまざまな出来事や危機、戦争や気候変動、パンデミックに襲われている、この人類の歴史の中、「わたしは世の終わりまで、いつもあなたがたと共にいる」（マタイ28・20）とのイエスの言葉をもう一度しっかりと心に刻みたいと思います。